宇宙の片隅で

愛すべき本と日々徒然についてのつぶやき

1月の読書メーター

1月の読書メーター
読んだ本の数:27
読んだページ数:2219


Don CoyoteDon Coyote感想
読友さんに教えてもらわなかったら、手に取ることなく終わったかも。なにしろ、米国の読メともいえるGoodreads にすら本の登録がなかった。1942年出版で絵はヴァージニア・リー・バートン。コヨーテをめぐる伝承話の短編集。私の住んでいる町には、コヨーテが割と近くに住んでいて、鶏や小動物が犠牲になることもある。近くのゴルフ場にもうろついている。私も一度近所の公園に行く途中、車から見た。痩せてみすぼらしかったが、思わずまじまじと見つめてしまう魅力があった。コヨーテの威厳とともに、この本も忘れられたのだろうか。
読了日:01月31日 著者:Leigh Peck
The Year of the Dog (A Pacy Lin Novel, 1)The Year of the Dog (A Pacy Lin Novel, 1)感想
名作『Where the Mountain Meets the Moon』の台湾系アメリカ人の作者の子供時代の回顧録的な物語。戌年生まれの彼女の一年を綴っている。新しい友達との出会い、淡い失恋、家族の伝統に絆、本が大好きなのに、なぜ自分と同じアジア人のヒロインはいないの?学校の劇で「オズの魔法使い」でドロシーになれない自分。今でこそ、多様な児童文学があるけれど、当時は主人公は白人ばかりだった。そんな中、自分の書いた絵本が賞をとって将来の夢が見える。ユーモアたっぷりで、でも同じアジア人として共感できた。
読了日:01月28日 著者:Grace Lin
Around the YearAround the Year感想
基本的には『 輝きの季節』とコンセプトは同じで、毎月の季節の表情やイベントに、簡単な文章が添えてある。白黒のページもあり。2月、バレンタインの絵で、教室で女の子がカードを隣の男の子に渡す絵の、男の子の何気ない顔にちょっと胸がきゅんとしました。もう二度と戻らない青春ってやつですね。邦題『ターシャの農場の12カ月』。どちらか買うとしたら、でも『輝きの季節』を選ぶかな。。。
読了日:01月27日 著者:Tasha Tudor
だるまちゃんとはやたちゃん (だるまちゃんの絵本)だるまちゃんとはやたちゃん (だるまちゃんの絵本)感想
このだるまちゃんの本は初めて読むなあと思ったら、出版は2018年。あの震災で被災された方々へ捧げられている。はやたちゃんは誰だろうと思ったら、化け物鵺を倒した源頼政の従者の猪早太で、福島では早太を郷土玩具としていたからだそうです。絵本にも、鵺退治のときの絵が描かれていました。だるまちゃん、手足が長くなったのは、やっぱり成長したからなのね。おばけもたくさん出てきて、子供は好きそうだなあと思う。驚いたのは、だるまちゃんがベッドで寝ていたこと。布団派じゃないのか。だるまちゃんシリーズでは珍しい最後が幻想的な話。
読了日:01月26日 著者:加古里子
Dictionary for a Better World: Poems, Quotes, and Anecdotes from A to Z (English Edition)Dictionary for a Better World: Poems, Quotes, and Anecdotes from A to Z (English Edition)感想
二人の詩人(黒人男性と白人女性のコンビ)が選んだ、世界をよくするための言葉、そしてその言葉をテーマにした様々な形式の詩、引用、自分たちの経験、そして実際にその言葉に関してできることのアイディアが書かれてあって、眠る前に一つずつ次男と読む。絵が色使いもスタイルもとても美しい。言葉だけじゃなくて、いろいろな詩の形式を知ることができたのも良かったし、二人の体験話も興味深い。今の米国の時勢を考えると、こういう本が特に必要とされているんだと思う。ただそういうことを抜きにしても、絵を見ているだけでも楽しめる本。
読了日:01月26日 著者:Irene Latham,Charles Waters
In the Middle Ages (Food and Feasts Series)In the Middle Ages (Food and Feasts Series)感想
中世史の参考資料に借りたけれど、食の話はやっぱり面白いので先に読む。どのような野菜や肉が、どのように育てられ、食べられていたのか、貴族と庶民の食の違い、また中世の食事の様子の絵がふんだんに掲載されているので、とてもわかりやすくて面白い。胡椒(en gros)が多く売買されていたので、食料雑貨店は grocer と呼ばれるようになったとか、水兵は食料を食べるのは暗くなってから、なぜならウジ虫を見なくてすむから、など。当時のレシピもついているのが嬉しい。
読了日:01月25日 著者:Imogen Dawson
だんめんず (かがくのとも絵本)だんめんず (かがくのとも絵本)感想
油断すると「だめんず」に見えてしまうこの絵本、いろいろなものを切って切って切りまくります。だんめんずを見るために。野菜のだんめんずから始まって、どんぶりもヴァイオリンも車も家もその餌食に。こうやって見るとだんめんずって面白い。物の骨、動く仕組みの部分だなあって。最後にごほうびもあるのが楽しい。ケーキを用意してこの絵本を読んだら、子供は大喜びかもしれない。ちなみにかこさんが描く「だめんず」もちょっと読んでみたかった気がする。
読了日:01月22日 著者:加古 里子
The House by the Lake: The True Story of a House, Its History, and the Four Families Who Made It HomeThe House by the Lake: The True Story of a House, Its History, and the Four Families Who Made It Home感想
ドイツにある湖畔の家を舞台に歴史をたどった実話絵本。ユダヤ人一家の幸せな暮らしは、ナチスの台頭によって壊される。その後ドイツ人の音楽一家やユダヤ人の老夫婦が住み、東西の壁が建設時に湖への道は閉ざされ、東ドイツのスパイをしていた男性一家を経て、荒れ果てた家に来たのは、最初のユダヤ人一家の子孫だった。家の歴史がそのままドイツの歴史になっていて、陰惨さはやわらいでいるので、子供に伝えるのにはよいかも。絵が版画のようで美しい。戦時中の暗い空と遠くの爆撃によるオレンジが印象的。邦題『あの湖のあの家におきたこと』。
読了日:01月21日 著者:Thomas Harding
はははのはなし (かがくのとも絵本)はははのはなし (かがくのとも絵本)感想
これは息子達がもっと小さいときに読みたかった。。。みんなが楽しそうにあっはっはと笑っているのに一人泣いている子。歯の役目に虫歯のできる仕組みがとてもわかりやすく書いてある。歯磨きだけじゃなくて、甘いもののことを書いてあるのもいい。歯が何本あるかということころで「は」という文字を並べているのが、視覚的でおもしろい。甘いもの好きで、歯磨きを怠ることがあり、耳が痛くて小さくなる次男を、じろりと眺めつつ、読み聞かせる。
読了日:01月21日 著者:加古 里子
だるまちゃんととらのこちゃん (こどものとも傑作集)だるまちゃんととらのこちゃん (こどものとも傑作集)感想
この絵本は初めて読んだ。猫が好きな次男は、とらのまちの様子やとらのこちゃんの表情などがかわいくて楽しんでいた。だるまちゃんととらのこちゃんが町のペンキ塗りをしているところで、「こんな白ばかりの壁の町だったらつまらないね」と次男がまだぬっていない町の建物を見てつぶやいていた。最後は車の絵は勢ぞろいしているけれど、とらのまちのアフターが見たかったな。
読了日:01月21日 著者:加古 里子
だるまちゃんとうさぎちゃんだるまちゃんとうさぎちゃん感想
この絵本は実家にあって、何度も読んだからとても懐かしい。クラフトのいろいろなアイディアが描いてあって、こういうのは本当に子供心をくすぐるのだ。手袋のウサギ、毎年冬になると友達も一緒に作ったな。雪ウサギは、小学校にあがる前に亡くなった祖母が一緒に作ってくれたのを思い出す。赤い南天の実が白い雪に映えてきれいだった。りんごのウサギも懐かしい。さっそく一緒に読んだ次男と折り紙で、うさぎの帽子を作る。小さいから猫にかぶせて楽しんだ。やっぱりかこさんの作品はしみじみ好きかも。
読了日:01月21日 著者: 
だるまちゃんとてんぐちゃんだるまちゃんとてんぐちゃん感想
ホームスクールをすると決める前に、大量にかこさんの絵本を予約して、どっさりやってきました。かこさん祭りは決行中。やっぱりだるまちゃんは、これが基本ですね。てんぐちゃんに憧れて、同じものを欲しがるだるまちゃんがかわいい。そして安易に買うのではなく、あるもので代用するというところがまたとってもいい。そして最後にだるまちゃんにすずめがとまったときに、嫉妬するのではなくて、素直に喜ぶてんぐちゃんが素晴らしいなあと今だから思う。鼻を花と間違うお父さんをにらむだるまちゃんの表情にうちの兄弟は大喜び。
読了日:01月21日 著者:加古 里子
The Gashlycrumb TiniesThe Gashlycrumb Tinies感想
かれこれ30年くらい前に古本屋さんで見つけたゴーリーの「Amphigorey」という作品集。ダークな世界が、まだ若かりし頃の私の琴線に触れて、それ以来好きだったのですが、日本でも柴田さんの訳で有名になってたんですね。イベントに参加しようと借りたこの本も再読だけど、母となった今読むと、今のほうがドキドキする。母になってホラーや子供が犠牲になるものは全般的に苦手になったけど、これも以前より引き気味に見ている自分がいたのが、かえって新鮮でした。邦題『ギャシュリークラムのちびっ子たち』。
読了日:01月21日 著者:Edward Gorey
ヘバーデン結節は自分で治せる!ヘバーデン結節は自分で治せる!感想
長男妊娠時にエストロゲン低下のせいか、軽いへバーデン結節になってしまいました。薬指が横から見ると第一関節がちょっとだけ曲がってます。普段は痛みはないですが、冷たい水を長く使用したり、手が冷たくなると激痛が走り、収まるまでは何もできず、うずくまって痛みが去るのを待つしかない状態。というわけで、この本を借りてみました。マッサージの場所が特定できるかがポイントですが、痛みが緩和される率が高いそうなので、痛みに悩んでいる人にはよいかも。ただ変形は治らないそうなので、早めの対応が必要そうです。
読了日:01月16日 著者:富永 喜代
琥珀のまたたき (講談社文庫)琥珀のまたたき (講談社文庫)感想
読後、気分が晴れず、その原因を考えているうちに、たぶん琥珀にとっての居心地のよい場所が奪われてしまったからだと気がついた。すでに世界は綻びつつあって、いつまでも続くわけがないとわかっていても喪失感はぬぐえない。病んだ母に監禁されて、いろいろな機会を逃した「かわいそうな子供」。でも幸せかどうかは結局本人にしかわからない。井の中の蛙は、大海を知らずとも空の深く蒼きを知る。ノイズのない世界の静寂な美しさには憧れすら抱いてしまう。図鑑の世界、身を寄せ合う姉弟、シグナル先生、絵に生きる妹、儚い美しい夢の世界。→
読了日:01月12日 著者:小川 洋子
ちっちゃな科学 - 好奇心がおおきくなる読書&教育論 (中公新書ラクレ 551)ちっちゃな科学 - 好奇心がおおきくなる読書&教育論 (中公新書ラクレ 551)感想
かこさんも福岡さんも好きなので、図書館で見つけてすぐさま借りる。構成としては、対談は一章のみで、お互いのエッセイや質問への回答、お薦めの本や子供たちに学んでほしいこと、などが書かれている。興味深かったのは、戦争を体験したかこさんが絵本作家になった過程や、福岡さんの虫を愛した子ども時代の話。二人ともセンス・オブ・ワンダーを持ち続けていて、好きなこと、伝えたいことへの気持ちが、キラキラしている。子供に必要な小自然、ひとつの事柄から、横に縦にと延長して、総合的に俯瞰的にものを見る目を養うこと、など参考になる。
読了日:01月10日 著者:かこ さとし,福岡 伸一
からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))感想
かこさとしさんには子供の頃からお世話になっている。加古さんと福岡伸一さんの対談集を読んでいたら、表紙を見た次男が、「あ、からすのパンやさん」って気がついて、夜に読んで~と持ってきた。からすの子供たちの名前がかわいくて、チョコちゃんとか声を出して言うのが楽しい。もちろん、毎回パンのページでは、この列ではどのパンが好き?という質問になり、全部のパンについて語らないと次のページにいけない(笑)。でも子供たちに、かこさんワールドが受け継がれていくのが嬉しい。ちなみに私の最初のかこさんは「とこちゃん」でした。
読了日:01月09日 著者:加古 里子
A Brighter GardenA Brighter Garden感想
今年もエミリーの詩を少しずつ読んでいきたいと思い、図書館で借りる。ターシャの絵も詩の雰囲気にあっている。ターシャがエミリーに親近感を抱いていたのは、彼女の生き方を見ていても頷ける。年々孤独と自然をより愛するようになってきた私にとっても、二人は憧れかも。エミリーは言葉の使い方が独特なのと、この時代の英語に弱いこともあって、単語を調べながらじっくり読んだ。やっぱり万葉集にも通ずる自然への目線に、なんだか胸が高鳴る。詩を通して、彼女の見ている風景を経験できるなんて極上の贅沢。邦題『まぶしい庭へ』。
読了日:01月08日 著者:Tasha Tudor
Snow & RoseSnow & Rose感想
グリム童話の「しらゆき べにばら」がベースになった物語。このお話、存在は知っていたけれど内容を知らなくて、まずはオリジナルを読んだ。作者はイラストレーターでもあるので、とにかく絵が愛らしい。でも森の中で繰り広げられる冒険は、甘いだけではない。魔法の森は美しいけれど、人が消えてしまったり、盗人、獣が住んでいる恐ろしいところでもある。姉妹のいない私は、二人の支え合う様子が好きだった。きのこ農場のIvo、不思議な図書館など、原作にはない部分も魅力的。ダークチョコレートのようなビタースウィートな童話。
読了日:01月06日 著者:Emily Winfield Martin
The Wild Christmas ReindeerThe Wild Christmas Reindeer感想
クリスマス・イブまでに、トナカイの面倒を見つつ、調教する役を仰せつかったエルフのティーカ。トナカイって、毎回有名なダッシャーとかコメットかと思ったら、この絵本では違うトナカイだった。いうことを聞かない彼らに、イライラして怒鳴って言うことを聞かせようとするティーカ。ああ、育児をしている身には共感することひとしお。でもそれじゃだめなんだって気がついた彼女、きちんと謝って相手を尊重するようになるとトナカイも彼女が大好きに。行為の意味がわからなくても、相手を喜ばすためにするって大切な一歩なのだろう。
読了日:01月05日 著者:Jan Brett
献灯使献灯使感想
今年の自分用初読みは、この本で良かった。希望があるわけじゃないけど、多和田さんの文章、とても好きで、味わうようにじっくりと読む。3.11以降の世界、老人の寿命は延びたが、細胞分裂が活発だった若者は体が弱く、生まれる子供たちは歩くこと、ズボンをはくことすらままならない。食べることだって命がけだ。汚染被害を広めないための鎖国、外来語がタブーになり、言葉の存在も流動的に。声をあげなかった罰ともいえる永らえる命に愛する者の弱まる姿をなすすべもなく見守るしかない状況。これをディストピア小説といえる余裕が続くといい→
読了日:01月04日 著者:多和田 葉子
ぐりとぐらのかいすいよく (こどものとも傑作集―ぐりとぐらの絵本)ぐりとぐらのかいすいよく (こどものとも傑作集―ぐりとぐらの絵本)感想
クリスマスに「ぐりとぐらのおきゃくさま」を読んでから、子供の頃から何度も読んだこの絵本を読みたくなって図書館で借りる。思えば、ぐりとぐらの世界は、クマのプーさんなどの童話とともに、私にとって子供時代の黄金の蜂蜜時代を形成した物語だったと思う。大人になって、外は嵐のようなタフな日々を乗り越えてこれたのも、自分の核として、安心して身を横たえることのできるこの世界があったからじゃないかと思う。ところで後年水木しげる氏の海坊主の絵を見て怖かった。私の中の「うみぼうず」は、やっぱりこの絵本の彼なのだ。
読了日:01月03日 著者:なかがわ りえこ
Uncle Blue's New Boat: A StoryUncle Blue's New Boat: A Story感想
今年は大好きなスウェーデンの絵本作家エルサ・ベスコフさん祭を開催しようと借りた絵本。知らなかったけれど、これは、色の名前のついたおばさん、おじさんと一緒に暮らすペッテルとロッタのシリーズらしい。今回は、あおおじさんの「ツバメ号」という名前の新しいボートで、無人島にピクニックに行くお話。なぜ「ツバメ号」なのかは冒頭にたぶん答えが。楽しいピクニックが、スリリングなのに、どこかのんびりした冒険に変わってしまう。いろいろと現実的には心配だったり怖かったりするはずなのに、とってものどかでいい。昼寝みたいな読み心地。
読了日:01月03日 著者:Elsa Maartman Beskow
The TomtenThe Tomten感想
先に続編を読んだけれど、クリスマスを過ぎて手元に届く。邦題は『みまわりこびと』のようだけど、絵が違う。混乱して探したら、正しくは『トムテ』だった。混乱のもとは、英語版で作者がリンドグレーンになっているのに、和訳では原典の詩を書いたヴィクトール・リードベリ作になっているからだった。ここでは、冬の寒い夜、トムテが農場の小屋をひとつひとつみまわる姿を描いている。家の中にも入ってくるのは、ちょっと困るけど、頼もしい存在。でもミルクがゆを出す習慣、よく考えると見まわりする頃には、カチンカチンに凍っているんじゃ。。。
読了日:01月03日 著者:Astrid Lindgren
Who's That Knocking on Christmas Eve?Who's That Knocking on Christmas Eve?感想
ジャン・ブレットさんのクリスマス絵本。シロクマを連れてオスロに向かう少年が通りかかった家では、毎年、クリスマスの料理を作るたびに、トロルがやってきて食べ物を奪い、どんちゃん騒ぎをやらかす。でも今回は、どんちゃん騒ぎの途中で、シロクマが怒り出して。。。別の本でトロルは成長するとしっぽが取れるって書いてあったけど、この絵本のトロルは大人もしっぽがある。人間にもしっぽがあって、成熟したらとれるっていうんだったら良かったのかも。今えらそうにトップにいる人たちには、きっとしっぽがあるに違いない。
読了日:01月03日 著者:Jan Brett
A Christmas Wish for CorduroyA Christmas Wish for Corduroy感想
『くまのコールテンくん』というクマのぬいぐるみの絵本を昔息子と読んで好きだったので、続編のクリスマス版を図書館で見つけて借りる。ところが、あのときデパートですてきな持ち主を見つけたコールテンくんが、またデパートに舞い戻っている!一体どういうことだ!実はこの絵本は、オリジナルのコールテンくんを使って、別の作者さんが書いた絵本だった。これが最初の一冊なら違和感なかったと思うけど、若干納得がいかない感じで読んだ。パラレルワールドのコールテンくんなのだ、これは、って思えばいいのかもしれない。
読了日:01月03日 著者:B.G. Hennessy
Shark Lady: The True Story of How Eugenie Clark Became the Ocean's Most Fearless ScientistShark Lady: The True Story of How Eugenie Clark Became the Ocean's Most Fearless Scientist感想
サメを愛し、Shark Lady と異名を持つユージェニー・クラーク博士について紹介した絵本。彼女のことは、この絵本で初めて知った。母親が日本人なので、彼女は日系アメリカ人。1922年生まれの彼女が学生の頃は、まだ女性の地位は低く、女は科学者になれない、というのが通念だった。そんな中、彼女は新種の魚を発見したり、残虐で知能が低いとされていたサメの実験を初めて行い、サメの記憶力は二か月はあること、またサメは休まず泳ぎ続けると思われていたが、実は群れで休んでいることなどを発見した。「好き」の力はすごい。
読了日:01月01日 著者:Jess Keating

10月の読書メーター

読んだ本の数:24
読んだページ数:4279

転迷―隠蔽捜査〈4〉転迷―隠蔽捜査〈4〉感想
お気に入りの隠蔽捜査シリーズ、今回はコロンビアの麻薬組織がらみの犯罪が、別々の事件から浮かび上がる。そのために外務省、麻薬を取り締まる厚労省といろいろな組織もからみ、複雑な事件へ。しかし竜崎は悩みつつも、いつもの合理性と冷静に理想を求める道を突き進み、なんだかんだで丸く収まるので、読んでいるほうもすっきり爽快。複雑じゃないことを複雑にすることで解決しない問題というのは結構ある。特に組織が大きくなると、関わる人の思惑もあるしで、しゃらくさいことに。この本、警察関連の人が読むと、やっぱりすかっとするのかな。
読了日:10月01日 著者:今野 敏
Inky's Amazing Escape: How a Very Smart Octopus Found His Way HomeInky's Amazing Escape: How a Very Smart Octopus Found His Way Home感想
作者のサイ・モンゴメリーが面白いと評判なので、タコの絵本を図書館で借りる。インキ―というニュージーランドで保護されたタコのお話。最後は水槽を抜け出し、排水溝から脱出して海に戻ったそうです。知らなかったのは、タコはなでられるのが好きで、リラックスすると色が白になること。あと大好きなページは、トイストーリーでもおなじみのミスター・ポテトヘッドの目をとって、ヒトデにつけたところ。かわいすぎてツボ。次男と一緒に読んでタコにハマり中。
読了日:10月02日 著者:Sy Montgomery
阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし感想
以前図書館で見たときは、おしゃれ姉妹が阿佐ヶ谷で雑貨に囲まれて暮らす日常についてのエッセイだと思っていた。今年ようやく阿佐ヶ谷姉妹に出会い、おばさんネタがツボにはまり、この本を借りる。若干疲労気味の脳には、ちょうどよいのほほん具合。阿佐ヶ谷に愛され、二人でいろいろ文句もありつつ暮らすお二人の様子になごむ。今だに「結婚」を幸せの究極の基準としている人もいるけど、一人だろうが、友達と住もうが、幸せの形ってそれぞれだ。ご近所さんの差し入れのギョウザが美味しそう。今はちなみに同じアパートの隣に住んでいるそうです。
読了日:10月03日 著者:阿佐ヶ谷姉妹
俺、つしま 2俺、つしま 2感想
ああ、このふてぶてしいつしまの表紙が。。。モフりたい。というわけで、二巻目が図書館にあったので、すかさず借りる。今回はさすらい時代のつしまとその相棒テルオやしず子の物語や、ご近所さんのセレブ風タナカ姉妹や動物に愛される少女よっちゃんも登場。同居猫さんとのからみに、やさぐれ会の猫会議もおもしろい。最後のボビーにしんみり。猫の表情とか毛の感じが本当にうまくて、読み終わってもまた読みだしてしまう。猫の世界もいろいろあるのよね、きっと。
読了日:10月09日 著者:おぷうの きょうだい
Truly Madly GuiltyTruly Madly Guilty感想
この作家さんは二冊目だけど、今回もおもしろかった。ある日のバーベキューを境に人生が変わってしまった三組の家族。現在の時間軸と、バーべーキューの日の時間軸とが同時進行で交互に語られるので、最後まで何が原因だったのかを想像する楽しみがある。でもそれだけじゃなく、それぞれの抱える問題と悩む人々の人物描写がうまい。今回印象的だったのは、物を捨てられない母親の元で育った子供の話。ほぼ育児放棄の状態で胸が痛む。うちの母も子どもが独立してから、マイルドに物を捨てなくなったから、共感する部分も多かった。最後まで秘密あり。
読了日:10月12日 著者:Liane Moriarty
The Mouse of AmherstThe Mouse of Amherst感想
読友さん経由で見て、すぐに図書館に予約。詩人エミリー・ディキンソンの部屋に住む白ネズミのエマライン。エミリーに影響を受けて、自分も詩を書き始める。そこから二人の交流が始まる。エミリーの詩とエマラインの詩が交互に書かれてあり、子供から大人まで楽しめる。挿絵もシンプルだけど暖かくて好き。冬の寒い日に暖かく毛布にでもくるまって読みたい本。小学生の夏に彼女の詩と出会って以来、心惹かれてきたディキンソンの詩。金子みすずにも通ずる小さなものに向けられる暖かい目。久しぶりにまた彼女の詩が読みたくなった。
読了日:10月12日 著者:Elizabeth Spires
The Imaginaries: Little Scraps of Larger StoriesThe Imaginaries: Little Scraps of Larger Stories感想
イラストレーターのエミリー・ウィンフィールド・マーティンの絵画集。それぞれの独立した絵に、謎めいた一言の文章が綴られている。読者はそれを手がかりに全体に通じる物語を想像することも、一つの絵に隠された物語を想像することもできる。例えばマッコウクジラの絵には、「彼らの行くところには地図はなかった」、図書館で本を読む少年、少女と動物たちの絵には、「すべての図書館が静かなわけではない」、猫を肩に乗せた少年の絵には、「百年ごとに一度、猫語を話せる者が生まれる」など。見てるだけで楽しい。
読了日:10月12日 著者:Emily Winfield Martin
仇敵 (講談社文庫)仇敵 (講談社文庫)感想
池井戸さんの本は、ノンストップが基本なので夜に読むと危険なのだが、この本は、全体が緩く短編でつながっているので、一話ずつのんびり読む。最近脳が疲弊しているので、金融用語など見ると、拒否反応がおこりそうだったので、ゆっくり読めてよかった。年齢的に応援したくなる中年男性が、正義をもとめて奔走し、悪代官が最後にお縄ちょうだいになる系。でも最後があっけなくて、もっと悪代官が歯がみする様子を見たかった、とサディスティックに思った。時代物じゃなくて、銀行小説です。
読了日:10月19日 著者:池井戸潤
StayStay感想
学校の図書室の先生がお薦めしていたので、次男と読む。両親が失業し、家を失い、別の州に新天地を求めてやってきたパイパーの家族。住む場所はシェルターだ。そんな中ホームレスの女性が飼う犬のベイビーと出会う。少女と犬の視点が交互に書かれ、シェルターでの生活の様子や、ホームレスにとってのペットの大切さについて考えさせられた。傷ついた心を癒してくれるペットだが、ペットがいるとシェルターには入れない。だからホームレスになるしかない人もいる。誰かのために強くなる、そういう希望のある物語だった。
読了日:10月20日 著者:Bobbie Pyron
The Octopus Scientists (Scientists in the Field Series)The Octopus Scientists (Scientists in the Field Series)感想
図書館で借りて、タコに夢中の次男と読む。タヒチの近くにあるハート形の島モーレア島。そこに世界中から集うタコを研究する科学者の人たち。そのうちの一人は69歳の心理学の大学教授の女性で、タコの知能を調査しているのが興味深かった。カモフラージュ上手なタコを探すのは大変そう。知れば知るほど個性のあるタコたち。次男はもうタコは食べないって言っているけど、私もそんな気持ちになってくる。タコ焼き好きなのに、まいったな。
読了日:10月21日 著者:Sy Montgomery
心理試験心理試験感想
耳読。夜眠る前に聴いて、いつも途中で心地よく眠ってしまうので、最初から最後まで聴くのに半月以上かかった。友人の大家さんを殺害し、お金を盗む青年。感情が抜け落ちたような、自己中心的で冷静に計画を立てる様子は、少し怖い。良心の呵責もなく、友人に嫌疑がかかることをむしろ喜び、みんなが騙されている様子が愉快でたまらない。心理試験ですら、練習して、そつなくこなしてしまう。そこへ登場するのが明智君だ。笑顔で彼を追い詰めてゆく。追い詰められる彼の精神状態が臨場感を持って伝わってくる。なぜか夜に聴くと心地よい江戸川乱歩。
読了日:10月22日 著者:江戸川 乱歩
A Voice of Her Own: Becoming Emily DickinsonA Voice of Her Own: Becoming Emily Dickinson感想
エミリー・ディキンソンについてもっと知りたいと思っていたら、児童文学でエミリーの9歳から24歳の日々を綴った本を見つけた。文章が現代的なので、若干違和感があったけれど、読みやすくて、夜眠る前に読むのがとても楽しみだった。彼女の詩に死を扱ったものが多いのは、この時代、結核で多くの人が日常茶飯事で亡くなり、病弱な彼女も死に脅かされていたからだろう。教会の説くキリスト教に反発し、自然に神聖が宿ると感じていた彼女なら、きっと万葉集も好きになっただろうな。10年の調査を経て書かれた本。しばらくはエミリーに夢中。
読了日:10月22日 著者:Barbara Dana
CrispinCrispin感想
長男と欧州中世の歴史を少しだけ勉強したので、中世が舞台の本を借りる。長男は古臭いと見向きもせず。ニューベリー賞だから読んでみたら、サスペンスフルな内容で、結構ぐいぐい読んだ。1377年英国、ある村に住む少年が、母亡きあと無実の罪で追われる身に。彼の秘密は、最初の方で想像がついたが、彼を弟子にする大道芸人のベアが、権力を振りかざす者への怒りを語るところなど、今のこの世を象徴しているようでもある。受け身でいくじなしの少年が、次第に逞しくなる様子と、ベアと彼の絆が深まるところがいい。三部作。邦題『クリスピン』。
読了日:10月23日 著者:Avi
新装版 はいからさんが通る  コミック 全8巻 完結セット新装版 はいからさんが通る コミック 全8巻 完結セット感想
昔アニメを観たおぼえのある「はいからさん」、図書館に全巻あったので借りる。少女漫画の王道で、主人公紅緒のまわりには美男子ばかり(いいな)。女性には良妻が求められていた大正時代、男勝りで一本気な紅緒には好感が持てる。この時代の雰囲気に、ファッションや文学も含めて惹かれるものがあるので、読んでいて楽しめた。その一方で、書かれた当時のギャグや、今読むと差別的な表現もあり(主にLGBTQに関するもの)、時代を感じさせた。ちなみに一巻の付録は、作者と山岸涼子さんの対談でおもしろいけど、いきなりのネタばれでがっかり。
読了日:10月23日 著者: 
とっておきのフィンランド 絵本のような町めぐり かわいい、おいしい、幸せ体験とっておきのフィンランド 絵本のような町めぐり かわいい、おいしい、幸せ体験感想
高校時代の親友がフィンランドからの留学生だった。彼女を通じて、フィンランドが大好きに。昔、彼女の住んでいるタンペレに遊びに行ったので、図書館でこの本を見つけて迷わず予約。でも想像していたのとは違って、近々遊びに行くなら役に立ちそうなガイドブックだけど、当分行く予定がない私には、おすすめホテルやカフェ情報は必要のない情報だった。ただタンミサーリという街に私の好きなヘレン・シャルフベックの絵を展示する美術館があるのを知ったことは収穫。いつかもう一度行きたいスオミ。
読了日:10月25日 著者:kukkameri(クッカメリ)内山 さつき/新谷 麻佐子
The Blue and the GrayThe Blue and the Gray感想
タイトルの青と灰色というのは、南北戦争での北部と南部の軍服の色。次男が学校で少し南北戦争の話をしていたので、家にあったこの絵本を読む。戦場となった場所って、記念碑が立っているのかと思ったら、そのまま忘れ去られた戦場もあるのがわかった。「兵どもが夢の跡」だなあ。
読了日:10月25日 著者:Eve Bunting
宰領 隠蔽捜査5 (新潮文庫)宰領 隠蔽捜査5 (新潮文庫)感想
竜崎が署長を務める大森署で起きた殺人事件に、誘拐が伴い、神奈川県警との合同捜査が決定する。神奈川県警と警視庁の間には、実際に確執があるらしくて、合同捜査の指揮をすることになった竜崎も、いつもより慎重になる。それにしても、確執が原因で、捜査に支障が出て、助かる命も助からない可能性があると思うと、くだらない意地の張り合いもシャレにならない。いい大人なんだし、目的が同じなら、そこを目指して頑張れよって言いたい。まあ、警察だけに限ったことじゃないけど、精神的に未熟な確執はやめてほしい。
読了日:10月25日 著者:今野 敏
Octopuses!: Strange and WonderfulOctopuses!: Strange and Wonderful感想
学校は相変わらずリモートですが、図書室に読みたいジャンルを知らせると、先生がよさそうな本を見繕って貸してくれる。これは学校から借りた本。絵がとてもきれいで、基本的な情報はこの一冊でわかる。猛毒を持つヒョウモンダコについて知らなかったけれど、元はオーストラリア、インドネシアが生息地だったが、今では温暖化で生息域が広がって、日本にも生息しているらしい。小さくてかわいいから、知らなかったら触ってたかも。
読了日:10月26日 著者:Laurence Pringle
自覚 隠蔽捜査5.5 (新潮文庫)自覚 隠蔽捜査5.5 (新潮文庫)感想
竜崎シリーズのスピンオフ。今回は各章の主人公は、違う脇役の人々。それぞれが苦悩する悩みが、竜崎に相談することで、すうーっと晴れてゆく。でも竜崎のいうことに何の違和感も感じず、むしろそれ以外のことで悩むことがあるのかと、それが新鮮に思えたりした。ここまで上下関係の厳しい組織にがんじがらめになったことがないからかもしれない。そう考えると、常識が通用しないのは、竜崎じゃなくて、組織なんじゃないかな。組織の常識は世間の常識じゃないってことですね。
読了日:10月26日 著者:今野 敏
Poetry for Kids: Emily Dickinson (English Edition)Poetry for Kids: Emily Dickinson (English Edition)感想
エミリーの詩でも、子供向けに選ばれた詩なら、読みやすいかもしれないと思って借りてみる。絵がエリナー・ファージョンの「ムギと王さま」の絵みたいで、心がくすぐられる。この本の素晴らしいのは、わかりづらい単語の意味が同じページに書かれてあるところ。そして最後のページにその詩の書かれた背景が書いてあって、詩を読んだだけではわからなかった景色が、ふわーっと広がった。最後のページにまとめてあるのもいい。最初は自分で考えながら読めるから。また詩は季節ごとにまとめてあって、夏に始まり、春で終わるのが明るい心持ちでいい。
読了日:10月28日 著者:Emily Dickinson
幽霊幽霊感想
耳読。最近睡眠が断続的なので、夜中に起きて眠れないときには、二宮隆さんの朗読による乱歩を聴くと心地よく眠れる。しかし、これは幽霊の話で、ちょっとドキドキした。なにしろチキンなので、怖い話だったらどうしようと思いつつ、何度か寝落ち。辻堂という男に恨まれる平田氏。亡くなって安心したのもつかの間、幽霊となって取り付いてやるという手紙が来る。ここまで恨まれるって何をしたのかと思うけど、その説明はなし。ひやひやしていたら、最後はあの方の登場で、ほっ。乱歩の話はトリックよりも、時代を感じさせる情景や人物描写が好き。
読了日:10月30日 著者:江戸川 乱歩
When Dad Showed Me the Universe (English Edition)When Dad Showed Me the Universe (English Edition)感想
読友さんのレビューで、読もうと思っていて忘れていた同じ作者の別の本を借りるときに、この絵本も借りてみる。お父さんがある夜、宇宙を見に連れて行ってくれる。街を抜け、広い原っぱで満点の星を見る。色鉛筆で描かれた絵が柔らかくて、色使いも優しくていいのだけれど、なのに、最後、え?それ?!って、ちょっとのけぞった。私、結構想像力豊かなので、臭いとか漂ってきそうで、なぜ最後にそれ持ってきちゃうの~って思ってしまいました。子供へのウケ狙いなのかな。次男は、少年が「おおいぬ!」って言うところが、 cute と言ってた。
読了日:10月30日 著者:Ulf Stark
大和三山の古代 (講談社現代新書)大和三山の古代 (講談社現代新書)感想
奈良時代、大和の地で人々にとって重要な存在だった香具山、畝傍山、耳成山について、万葉集や古事記、中国、韓国の古代文化、遺跡など、いろいろな観点から分析した本。万葉学者の上野さんの文章は初心者にも読みやすい。ある場所が、そこに住む人々の意識や記憶の中で共有され、それが軸となり、文化や文学が生まれ、時を経てもその共通意識が伝わってゆくということに不思議な気持ちと愛しさを覚える。三山のツマ争いに額田王を巡る関係や、学者同士の熱い議論も興味深かった。一度彼の地を訪れて三山をこの目で見てみたい。
読了日:10月31日 著者:上野誠
The Halloween TreeThe Halloween Tree感想
ハロウィンの日に終わらす、というルールを勝手に次男が決めたので、のんびり読み聞かせ。ブラッドベリは割と好きな作家。この本はハロウィンの夜、行方がわからない友人を探しに、少年たちがMr. Mountshroud という不思議な男と旅に出る。たどり着いた先々で、古代からずっと続く形を変えたハロウィンの姿をたどっていくという話。エジプトのミイラにドルイドのいる英国、中世の魔女や教会のガーゴイル、メキシコの死者の日、それは少年たちの選んだ衣装と同じだったりする。ちょっとスタンド・バイ・ミーっぽくもあった。
読了日:10月31日 著者:Ray Bradbury

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:5045

横浜駅SF 全国版 (カドカワBOOKS)横浜駅SF 全国版 (カドカワBOOKS)感想
前回読んだ横浜駅SFのスピンオフ作品の短編集。まだ増殖中の横浜駅。北海道JRの人工知能を司る「ユキエさん」の正体がわかるのかと思ったけれど、それはなかった。北海道から派遣されたロボットの工作員ハイクンテレケやネップシャマイの独自の人格がおもしろくてもっと知りたい。「横浜駅SF」でもそうだったんだけど、もっと深く知りたいのに、中途半端なところで終わる感じが今回もあったかな。そう思えるのは、この世界観に惹かれるからなんだろうなとも思う。
読了日:09月30日 著者:柞刈湯葉
The Harlem CharadeThe Harlem Charade感想
ニューヨークはハーレムで韓国食糧店を営むハルモニたちの養子ジン。ある日謎多き同級生アレックス、ホームレスになったエルヴィンに出会い、ハーレム・ルネッサンスの芸術家を巡る謎を追うことに。ハーレムの文化を継承する美術館や建物、出来事を学びながら謎を追うのは楽しかった。家族の絆、友情、コミュニティの絆、ハーレムの歴史など、いろいろなテーマが盛り込んであるのに、うるさくない。主人公が韓国系やアフリカ系アメリカ人というのに、今のハーレムの多様性が垣間見える。未翻訳。
読了日:09月29日 著者:Natasha Tarpley
Child of St Kilda (Child's Play Library)Child of St Kilda (Child's Play Library)感想
ほおずりしたくなる本というのがある。この本はまさにそんな本。読友さん経由で知り、英語版を図書館で借りる。スコットランドの北西の外れにあるセント・キルダ諸島。過酷な天候の中で何千年も人が生活していたことに驚く。助け合って暮らす島民の様子や島特有の動物、鳥の絵が、モノプリントの手法で描かれており、色合いも美しい。この絵本の主人公であるノーマン・ジョンは、この島最後の住人の一人。若者は島を離れ、残っているのは老人と子供のみ。助け合わなくては生きていけない環境では生活ができなくなった。その後無人の島は世界遺産に。
読了日:09月27日 著者:Beth Waters
WhittingtonWhittington感想
ニューベリー・オナー賞。ある農場にやってきた猫のウィッティントン。そこに住む世話好きなアヒルや馬、鶏、農場主の孫たちに、自分のご先祖さまであった猫の話を語り始める。現代では農場に住む動物たちのエピソードに、識字障害を持つ男の子の葛藤、物語の中では中世の英国の貿易商人の暮らしについて語られる。猫のご先祖様の飼い主のウィッティントンは英国でも有名らしい。貿易で成功した彼は、貧しい人々のために手を尽くした。彼を成功に導いた猫の話は、実はアラビアの猫のおとぎ話を、彼の伝説に後に合わせて劇にしたのが始まりらしい。
読了日:09月27日 著者:Alan Armstrong
万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫)万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫)感想
万葉集全20巻より、中西さんの選ぶ秀歌の紹介。それぞれの巻の特徴や納められている歌の種類が書かれてあるのが参考になった。ただ万葉集初心者に近い私にとって、やや難解だったのは、ある歌の紹介の中に別の歌への言及があって、そちらについては内容の解説が省略されている部分があったこと。万葉集の文法をきちんと知らないとな~と痛感。全体を通して、私は六巻の特に四季を感じさせる自然の歌がより好きなんだなとわかった。十九巻の家持の心情も捨てがたいけど。歴史とともに味わうと、より深みが出る万葉集。時を越えて風景が目に浮かぶ。
読了日:09月25日 著者:中西 進
The Great American Dust Bowl (English Edition)The Great American Dust Bowl (English Edition)感想
30年代のアメリカ中西部で何度も発生した砂嵐についてのグラフィックノベル。砂嵐が起こった原因。白人の入植以前、雨の少ない地域では、木は育たなかったが大草原があり、バッファローが草を食み、それをネイティブアメリカンの人々が狩り、何千年も自然のバランスが取れていた。しかし開拓時代、バッファローは狩られ、草は刈り取られて開墾されたが、地表がむき出しになった乾燥地帯では、砂が風に舞い上がり、砂嵐となった。絵だけで凄まじさが伝わる。肺病、虫の発生などに世界恐慌が追い打ちをかける。自然の猛威というより人災なのだった。
読了日:09月25日 著者:Don Brown
Mrs. Frisby and the Rats of NIMHMrs. Frisby and the Rats of NIMH感想
ニューベリー賞。病弱な次男を救うために、カラスに乗って空を飛び、森の賢者フクロウに会い、家ねずみの一団と行動をともにすることになる野ねずみのフリスビーおばさん。その中で彼女は亡き夫の秘密を知ることになる。アルジャーノンを彷彿とさせるような展開。冒険譚として単純におもしろい。最後に友を救うために戻ったのは、きっと彼。この後、家ねずみたちがどうなったのか、続編があるようなので読んでみたい。次男に読み聞かせ。邦訳: 『フリスビーおばさんとニムの家ねずみ』
読了日:09月24日 著者:Robert C. O'Brien
When You Reach Me (Stead, Rebecca)When You Reach Me (Stead, Rebecca)感想
ニューベリー賞。ニューヨークに母と二人で住むミラ。ある日親友サルが見知らぬ少年にいきなり殴られ、それ以来彼女はサルに避けられてしまう。不安定な日々に突然現れる未来からの手紙。思春期に揺れる少女の複雑な心境、友情、淡い恋、反抗心を、つたない言葉で見事に表現している。タイムトラベルの謎は、途中で想像がついたけれど、SF要素よりミラをとりまく人たちとの関係のほうが面白く感じた。いいことも悪いことも、それぞれの人の物語が切なくすれ違ったり、絡み合ったりして、それが70年後半のニューヨークの雰囲気に合っている。
読了日:09月24日 著者:Rebecca Stead
ゴーストハント (1) 旧校舎怪談 (幽BOOKS)ゴーストハント (1) 旧校舎怪談 (幽BOOKS)感想
私の中での怖すぎるホラーNo.1は小野氏の「残穢」。もうホラーは無理と思ってるのに、友達が推してくるので仕方なく借りる。「残穢」を覚悟して読んだので、怖くなくてほっとした。80年代の作品なので、主人公麻衣の話し方に、こちらが恥ずかしくなって、少し読むのが拷問だった。自分の中学時代の日記を読むようなこっぱずかしさだ。とゆーのも、あたしも若かりし頃は、こーゆーノリだったかもしれないからだ。祟りのあると言われる旧校舎、調査に集まった美形の若者渋谷とクセのある霊能者たち。若いうちに読んでいたらもっと楽しめたかも。
読了日:09月22日 著者:小野 不由美
初陣 隠蔽捜査3.5 (新潮文庫)初陣 隠蔽捜査3.5 (新潮文庫)感想
隠蔽捜査シリーズのスピンオフ。竜崎の幼馴染で同じく警察組織に属する伊丹の視点から書かれた短編集。おそらく人口の大多数は、伊丹か竜崎でいうと伊丹だと思う。組織の中で働く以上、ある程度自分を演じることは必要だし、本音とたてまえを使い分けることも覚えるし、それにより自分を消耗することも多々ある。竜崎には共感というより、カタルシスを感じるのは、彼が飄々と合理的に物事をこなしていき、本来ならこうあるべき姿を見せてくれるからだろう。そういう意味では伊丹へのほうが共感しやすい。ただ一言あるとすれば熱があるときは休め。
読了日:09月21日 著者:今野 敏
Major Impossible (Nathan Hale's Hazardous Tales #9): A Grand Canyon Tale (English Edition)Major Impossible (Nathan Hale's Hazardous Tales #9): A Grand Canyon Tale (English Edition)感想
米国の歴史の一コマを面白く描くグラフィックノベルシリーズ。今回はグランド・キャニオン探検の話。隊長パウエルの南北戦争の話も盛り込んである。舟での探検は、未知の荒々しい自然の中で翻弄され、とても過酷で、流れが激しい場所では舟と荷物をかついで陸を歩いたり、舟が壊れたり、食べ物も乏しく、隊員の一人は服の替えがなくて、服が燃えた後、つなぎ下着で探検していた。南北戦争の話は、パウエルの弟が捕虜として暮らした様子が過酷。途中で探検隊を離れた三人は行方不明になるが、モルモン教徒が絡む話が物騒。いつもながら勉強になる。
読了日:09月21日 著者:Nathan Hale
疑心 隠蔽捜査3 (新潮文庫)疑心 隠蔽捜査3 (新潮文庫)感想
お気に入りの竜崎シリーズ三冊目。しかし今回は、米国大統領来日時に計画されたテロが発覚し、そのなかで重要な任務を任されるという重責の中、嵐のような恋に見舞われてしまうという試練。いつもブレない合理的なところが魅力の竜崎が、恋に翻弄されてブレブレに。「ちぇっ、竜崎、お前もか」みたいな心境に。彼も人間だから、そういうところが魅力的という見方もあるけれど、「こんな非常時に、ええっ?!」というプロ意識に欠けた状態に少しがっかり。私自身の嫉妬もあったことは否めないが。禅の公案、おもしろかった。
読了日:09月20日 著者:今野 敏
Westing Game: Anniversary EditionWesting Game: Anniversary Edition感想
ニューベリー賞。よくお薦め本リストに入っているので読む。ある不思議なアパートに意図的に集められた街の資産家ウェスティンの関係者。ハロウィンの夜、行方不明だったウェスティンが殺害される。関係者たちは屋敷に集められ、その中にいる犯人を捜した者が、資産を相続する。それぞれが謎を追うなかで明かされる秘密。ユーモアたっぷりで、謎ときもおもしろく、大人も楽しく読める。でも最後、暖かいと同時に切ない気持ちになって、しばらく余韻が残った。
読了日:09月19日 著者:Ellen Raskin
ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)感想
2004年の作品なので、今は状況が変わっているとはいえ、ミャンマーの当時の権力者を柳生一族に見立てつつ、歴史や文化を旅路での出来事とともに紹介したおもしろい紀行本。仕事でミャンマー語を扱ったときに、宇宙文字のような言語に四苦八苦し、この難解な文字故に識字率が低いのではと思っていたけれど、識字率の高さに驚いた。理由の一つは電気の供給率の関係で娯楽が読書だから。また多民族国家ゆえに、外国人とのコミュニケーションレベルが高い、など、目からうろこ。ニュースの深刻な姿より、この緩い感じが本来の国民の姿なのかな。
読了日:09月15日 著者:高野 秀行
Fighting WordsFighting Words感想
育ての親からの性的虐待という重いテーマながら、ときにユーモアも交えながら描いた作品。けんかっぱやくて、悪い言葉ばかり使う10歳の主人公のデラ。デラと姉のスーキーの深い絆に胸がきゅんとなる。この二人の置かれた状況を想うと、後半は涙ぐみながら読んでいた。でもカウンセラーが言う通り、全米の子供の2/3は、虐待、貧困、飢えなどの問題を体験している。その事実がつらい。でも、どんな状況にも必ず差し伸べられる手があると信じたい。最後のセミコロンとアンパーサンドに希望があった。いつも始まりを決めるのは自分。新刊で未翻訳。
読了日:09月10日 著者:Kimberly Brubaker Bradley
ドラえもん (5) (てんとう虫コミックス)ドラえもん (5) (てんとう虫コミックス)感想
息子の日本語教室で、今ドラえもんの漫画を教材で使っているので、図書館にないかと調べたら、なぜか5巻だけあったので借りる。昔のドラえもんは自分も子供時代に読んでいるからなつかしい。読んでいると「シネラマン」とか「うつすとバッジになるカメラ」とか、欲しいって思ってたのを思い出す。「ぞうとおじさん」は、もしかしたら初めて出会う戦争だったかもしれない。「重力ペンキ」、子供の頃には、こういう家庭の子もみんなで遊んだ。70年代の空気が漂う巻のほうが、最近のプラスの巻より心地よく感じるのは、懐かしいだけじゃないのかも。
読了日:09月09日 著者:藤子・F・不二雄
Through My EyesThrough My Eyes感想
公民権運動が盛んになる頃、南部で黒人の少女ルビーは、初めて白人と同じ小学校へ通う生徒の一人として選ばれた。写真が豊富なこの本は、その当時の様子を彼女の視点と彼女の母や先生からのコメントで綴っている。周囲の反対者の過激な罵声や黒人の人形が棺桶に入ったものを掲げる様子が写真から伝わってくる。当時白人の生徒はボイコットして、学校には彼女しかおらず、先生と二人でずっと授業をしていた。白人の子が学校に通い始めても、彼女だけ隔離されていたのは初めて知った。また白人の子を通わせていた親にもひどい嫌がらせがあったことも。
読了日:09月09日 著者:Ruby Bridges,Margo Lundell
機捜235機捜235感想
機動捜査隊員とは車で街を巡回し、事件発生直後に駆け付けたり、怪しい人に職質するお仕事。物語は高丸という隊員のもと、パートナーとして定年間際の縞長がやってくるところから始まる。うだつのあがらない縞長だが、実はすごい能力を持っている。最初はバカにしていた周囲の人々も、少しずつ態度が変わっていく、という湖面に投じられた石の波紋のような短編集。今野作品なので、やっぱりすかっと爽快。世間の物語は若者が主人公のものが多いが、中高年が輝いていると安心する昨今。事件より、二人の関係の変化がいい。
読了日:09月06日 著者:今野 敏
Northanger Abbey (Penguin Clothbound Classics)Northanger Abbey (Penguin Clothbound Classics)感想
仕事中に朗読で聞き流す。すみずみまで読んでないが、メインな筋は楽しんだので登録。夢見がちな17歳のキャサリンが、近所の夫婦の付き添いでバースへ休暇に。そこで出会った対照的な二組の兄妹。最初からうさんくさいイザベラに、ピュアな彼女は友情を見出す。その後、もう一組の裕福な兄妹の住むノーサンガー・アビーという大邸宅に遊びに行くが、彼らの母を殺したのは父に違いない、など、ゴシックな妄想が大暴れ。コミカルで軽いけれど、背景にある英国のこの時代の階級の差や、女性の立場などを考えさせられもする。
読了日:09月04日 著者:Jane Austen
Just South of HomeJust South of Home感想
天文学が好きな12歳のサラ。ちょうど胸が膨らみ始め、親友との関係ももつれたりと思春期で揺れる夏。しかも、いけすかない従妹と一緒に暮らすはめに。そんな中、幽霊が住むという噂の教会に行ったことがきっかけで、町の闇の歴史が浮かびあがる。南部の濃密な夏を舞台に、黒人が迫害された歴史、前に進むために過去と向き合うこと、真の友情、家族の絆などのテーマをスリリングな展開で描く。誰もが経験する思春期の心の揺れと黒人の歴史を、ゴーストストーリーで描いているところがユニークでおもしろかった。邦訳されるといいんだけど。
読了日:09月03日 著者:Karen Strong

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4037

超高速! 参勤交代 (講談社文庫)超高速! 参勤交代 (講談社文庫)感想
7月の江戸つながりで読む。財政難なのに、江戸の悪老中にお家取り潰しを目論まれ、五日以内に参勤交代を命じられる東北の湯長谷藩の藩主内藤政醇。彼の幼少期の話は、ちょっと悲しいし、だからこその閉所恐怖症というのは納得だった。クセも忠誠心もある家臣に勝気で健気な遊女、影のある忍者、脇役たちもいい味を出していて、一気に読んで、いい気晴らしになった。『リターンズ』も読んでみたい。
読了日:08月02日 著者:土橋 章宏
Satoko and Nada 3Satoko and Nada 3感想
親たちの選んだナダの婚約者、ナダに会いにアメリカへやってくる。ナダを心配し、いきなり会わせないようにと奔走するサトコたち。しかし最後に一目だけ並行して走る車から見つめ合う二人。この二人なら、きっとうまくいきそうで良かった。海外で日本人グループと会うのに緊張する、というのは共感。でも結局居心地のいい人に国は関係ないというのもわかる。お互いのためなら世界の果てでも助けに行く、という二人の友情が微笑ましい。次は最終巻。サトコは日本に帰国するのかな。
読了日:08月06日 著者:Yupechika
Jefferson's Sons: A Founding Father’s Secret ChildrenJefferson's Sons: A Founding Father’s Secret Children感想
建国の父であり『独立宣言』の起草者の一人であった第三代大統領ジェファソン。その彼は妻亡きあと、奴隷であったサリーと死ぬまで関係を持ち続けた。二人の間には子供もいるが、この物語はその息子たちと彼らの友人の黒人奴隷の子供の視点から語られる。親が自国の著名人なのに、親子であること隠し、同じ敷地内に奴隷として住む生活。『独立宣言』で言及されている「平等」の矛盾。それを矛盾だと理解できないジェファソンもまた差別主義者であった。物のように売られていく友人。前妻の孫と自分たちの待遇の差。胸が痛む。児童書を超えた良書。
読了日:08月11日 著者:Kimberly Brubaker Bradley
フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記感想
ピアニストのフジコさんが、14歳の夏休み、学校に提出するために書いた絵日記。絵の色彩が豊かで、味があって、見ているだけで楽しい。戦後まもなくのことだから、その影も垣間見える。人に見せるものだから、つらいことは書かれていないけれど、合間のエッセイには、ハーフであることでつらい想いをしたことが書かれてあった。飼い犬の話には本当に胸が痛んだ。私も某番組で知ってファンになった一人だけれど、どんなときにも世界に「美」を見出せることができる人ってすてきだと思う。今もこれからの時代もそういう感性を持つことって大事。
読了日:08月15日 著者:フジコ ヘミング
Big Little Lies: The No.1 bestseller behind the award-winning TV seriesBig Little Lies: The No.1 bestseller behind the award-winning TV series感想
ドラマも話題の原作。豪州の海辺で子育てをするママ友たちのお話。それぞれがみんな秘密や問題を抱えているうえに、子供同士のいじめ問題が浮上。物語のはじめが殺人事件で始まるが、誰が死んだのかが最後までわからないし、いじめも誰が犯人か途中まで謎のまま。最後の死は安易な解決ともいえるけど、そこで立場もバラバラの女性たちの気持ちが一つになるところに少しジーンとした。同じ体験をしていなくても女性だからこそ理解できることはあると思う。そういう意味で女性は繋がっている。単なる娯楽小説ではなく社会問題にも触れていて面白い。
読了日:08月15日 著者:Liane Moriarty
The Penderwicks: A Summer Tale of Four Sisters, Two Rabbits, and a Very Interesting BoyThe Penderwicks: A Summer Tale of Four Sisters, Two Rabbits, and a Very Interesting Boy感想
米国では児童文学おすすめリストでよく見るこの本、魔法物かと思いきや、ひと夏の貸し別荘での四姉妹と少年の日々を綴った物語だった。四姉妹って、若草物語以来の憧れ。これ書いてて気づいたけど、別荘のオーナーの音楽好きな息子ジェフリーはローリー?!若草物語へのオマージュだったのか。息子達への読み聞かせ。みんな正直で男勝りの次女スカイがお気に入り。牛に襲われかけたり、ドレスアップする誕生日パーティに行ったり、恋に破れたり、と、いつか懐かしく思う夏の思い出がいっぱいだった。邦訳『夏の魔法: ペンダーウィックの四姉妹』
読了日:08月22日 著者:Jeanne Birdsall
Harry Potter and the Prisoner of AzkabanHarry Potter and the Prisoner of Azkaban感想
【再読】最初に読んでから10年以上たっているため、細かい内容を忘れていたので、次男と読んで新鮮だった。シリウス・ブラックというヴォルデモートの手下の凶悪犯が、アズカバン牢獄から脱走し、ハリーを狙う。ホグワーツには吸魂鬼が見回りし、校内に不穏な空気がたちこめる。ロンの飼いネズミのスキャバーズの正体をすっかり忘れていた。このあたりから、ダークな雰囲気になってゆくハリポタだけど、やっぱりこの物語の中に入りたいとおもわせるおもしろさだった。
読了日:08月22日 著者:J. K. Rowling
This Was Our PactThis Was Our Pact感想
紹介していた人がジブリっぽいと言っていて、気になって図書館で借りる。グラフィック・ノベル。秋祭りの日の夜が舞台なので、濃紺のグラデーションが基調で澄んでいて、いくつかの風景は飾っておきたいような絵。ジブリの世界観とは少し違うと思うけど、クマや不思議な人たちが出てきて、ファンタジックな内容。秋祭りの夜に川に流される灯篭をずっと追い続ける、と約束した少年たち。一人二人と引き返し、最後に残ったのは、みんなにのけ者にされる少年だけ。二人の少年は、不思議な体験をしつつ、灯篭の行方を見届ける。夜の香りが漂ってきそう。
読了日:08月23日 著者:Ryan Andrews
へんなものみっけ!(2) (ビッグコミックス)へんなものみっけ!(2) (ビッグコミックス)感想
一巻では入り込むことができなかったが、二巻にはとても引き込まれた。クジラの標本の作り方や掘り起こす作業、標本室の害虫の危険性についての話も興味深かったし、亡父の残した鉱物標本が『銀河鉄道の夜』の銀河ステーションの地図だったという話には吐息が出た。サシバの渡りの瞬間に立ち会う臨場感、「渡り」が鳥たちの体に与える影響など、読んでいると「渡り」の衝動に想いが飛ぶ。もっと若いときに自然博物館の魅力に気付いていたらなあと思う。そしたら博物館員になってたかも?!
読了日:08月24日 著者:早良朋
へんなものみっけ!(3) (ビッグコミックス)へんなものみっけ!(3) (ビッグコミックス)感想
博物館の「入り口」って、本当に大切だなあと思う。親になるまで、自然博物館にはほとんど行ったことすらなかったけれど、今は子供よりも楽しんでしまう。それは、自分の中の興味と知識が増えたからだ。雷よけの石の話、娘として、親として泣ける。老いていく母を見る切なさ、でもそれが親の子どもへの最期の教育って、確かにそうかもしれない。ノラ猫になる一日、恐竜の歩き方、ポプラの大森林パンド、この世の中にはまだまだ楽しいことがたくさんあるって思うと、わくわくする。薄井君、南極に行けるといいね。
読了日:08月24日 著者:早良朋
わたしの万葉集 (新潮文庫)わたしの万葉集 (新潮文庫)感想
図書館本。有名な平岩さん、初読み。文章に品があって読んでいて心地よかった。初心者向けに雑誌で書いたエッセイなので、軽めだけれど、女性特有の視点での意見が良かった。これまで読んだ関連本は男性が書いたものだったので新鮮。万葉集、特に額田王のエッセイも良かったのだけど、最後の紬を巡る旅エッセイは、画像を調べながら読む。各地での紬のできる過程と特色を読んでいると、ため息が出る。着物生活とは程遠い日々だけれど、着物を着たくなる。この伝統が続きますようにと願う。親から子に伝わる着物文化、うちにはなかったな~。残念。
読了日:08月26日 著者:平岩 弓枝
豹変 (角川文庫)豹変 (角川文庫)感想
3月以来図書館は閉まっているが、予約受付が可能に!テンションが高まり、大幅に本を予約したら次々に届いてタワー状態。今野さんの本も多いので、しばらく今野祭りになりそう。通常の警察物と違い、オカルトっぽい事件を扱うシリーズらしい。狐憑きの症状がある中学生たちが関わる事件を警視庁の富野が、お祓い師の鬼龍とともに解決に奔走する。まだまだ解明されない脳の仕組みっておもしろいし、こういう話は割と好きだ。世界には、科学の光が照らさない薄闇が存在するけど、そういうものを含む余地のある世界のほうが健全、というか単に面白い。
読了日:08月28日 著者:今野 敏
The Hitchhiker's Guide to the GalaxyThe Hitchhiker's Guide to the Galaxy感想
【G85】カルト的な人気のこの本、期待値が高い状態で、集中力が低下している夜に読んだせいで、物語に思ったほど入りこめなくて残念。いきなり銀河ハイウェイのパイパス工事のために破壊される地球。実は宇宙人だった友人フォードとともに、宇宙へと逃れるアーサー。ヒッチハイクをしつつ旅をする。究極の質問の答えである42、うつ病ロボットのマーヴィン、イルカにねずみの秘密、地球の正体など、奇想天外な流れに思わずニヤリ。映画を観たら、よりわかりやすかった。いろいろなところで引用されるので、読んでおくとお得。続き読もうか悩む。
読了日:08月30日 著者:Douglas Adams
継続捜査ゼミ (講談社文庫)継続捜査ゼミ (講談社文庫)感想
夜に読んじゃだめだ、と思いつつ、一気読みで夜中の2時まで読みふける。警察を退職した小早川が、女子大学で教鞭をとる。その中で過去の未解決事件を扱い、その捜査方法などを学ぶゼミに集うそれぞれに特技を持つ女子5人。大学内で起こる怪事件に、実際の未解決事件の捜査に乗り出す彼らの姿が、おもしろくて、真犯人は途中で検討が付いたものの、結局途中で本を置くことができなかった。さえない風貌の日本文学教授との奇妙な友情がいい。今の大学事情についても知ることができた。文学が役立たずというのは、想像力の欠如だと思うな。
読了日:08月31日 著者:今野敏

7月の読書メーター

7月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:3077

Shiloh Season (The Shiloh Quartet)Shiloh Season (The Shiloh Quartet)感想
次男とともに読む。これはビーグル犬シャイロシリーズの二冊目。前回心が通じ合ったと思われたビーグル犬の元飼い主ジャッドとマーティ。しかし、ジャッドはお酒におぼれるようになり、隣人とのトラブルが絶えない。マーティ一家とも険悪な状態となり、あげくの果てに、マーティに威嚇射撃まで。この本が素晴らしいと思うのは、善悪に白黒つけず、葛藤しつつ、暗い感情も受け入れつつ、なおジャッドを諦めないところ。理解できない相手の物語をきちんと大切にしている。よく悪者は最後に死んだりするけど、そういう安易な解決をしないところがいい。
読了日:07月02日 著者:Phyllis Reynolds Naylor
古事記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)古事記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)感想
ママ友に借りる。「古事記」を読むのは二回目だけれど、この本は解説が主観的とはいえ、わかりやすくて、面白かった。国譲りで出雲系の勢力が大和政権に権力を譲るところ、大和政権が天皇の権力の後ろ盾として太陽神アマテラスとの繋がりを誇示する、というのはわかりやすい。他の古代世界でも権力者の祖先が神、というのはよく見られる。書かれた時代の貴族たちの出自についても、神または天皇を支える系統であることを説明づけている。神が恐れられていた頃には、支配の正当性を理由づける有効な手段だったんだろう。難しいことは抜きに面白い。
読了日:07月03日 著者:角川書店
日本一古い本 古事記びっくり物語事典 (学研まんが 事典シリーズ)日本一古い本 古事記びっくり物語事典 (学研まんが 事典シリーズ)感想
このレトロな漫画は友人に借りる。漫画とはいえ情報量満載で読み応えあり。アマテラスとスサノオの争いは、太陽と嵐の争いで、農耕生活に大切な太陽のめぐみを荒らす風(スサノオ)を追い払うという儀式の象徴、という説が面白かった。またヤマタノオロチが出雲の川の洪水を象徴し、体の中から出てきた剣は、この川でとれる砂鉄、そこからの鉄へ結びつくのも面白い。国譲りの出雲の勢力は、鉄を造る集団だったということか。大和に王権は譲ったけれど、絶大な権力を持っていたんだろう。速総王と大鳥王、木梨の軽の王の恋など、面白かった。
読了日:07月04日 著者: 
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)感想
万葉集ビギナーには、わかりやすい本。このシリーズは、前のめりの状態で読むと、情報量が少し足りなくて、もっと知りたいという欲求がむしろ高まり、さらなる知識の森の奥へと分け入ってしまう感じ。4500首あまりある万葉集のうち、有名な歌を140首抜き出して説明。それ以外に天皇家系図やおもな枕詞、主な歌人や歴史的背景などのコラムがあるのがありがたい。わかりやすい歌もあるけれど、歴史や文化、土地、風習などを知って初めて、深い味わいを感じることのできる歌が多いこと。知ることがもっと深いところにつながっていくのが楽しい。
読了日:07月04日 著者: 
Georgia in Hawaii: When Georgia O'Keeffe Painted What She PleasedGeorgia in Hawaii: When Georgia O'Keeffe Painted What She Pleased感想
読友さん経由で知った絵本。オキーフがハワイで絵を描いたのは初めて知ったし、ハワイで描かれた絵も初めてみて新鮮だった。パイナップルで有名なドールからの要請で、パイナップルの絵を描くように依頼された彼女。でも彼女は描きたくない絵は描かない主義なので、最終的な絵はドールが想像していたわかりやすい黄色いパイナップルの絵ではなかった。そういうところも含めて彼女の魅力だったりする。
読了日:07月05日 著者:Amy Novesky
万葉のふるさと (1963年) (カラーブックス)万葉のふるさと (1963年) (カラーブックス)感想
万葉集にはまっていると言ったら、友人が貸してくれた。レトロな感じがすてきなこのシリーズ、昔実家にも何冊かあったので懐かしい。昭和38年発行。古い写真での万葉集ゆかりの土地の散歩。今もこれらの風景は残っているのだろうか。引用されている歌の説明がなくて、初心者には歌の内容が難しいのもあった。万葉集以外の詩や文章も引用されていておもしろい。今いちばん行きたい奈良。万葉の世界を歩いてみたくなる。ひとつ難点があるとすれば、、、字が小さ~い!
読了日:07月08日 著者:高田 昇
万葉集のなり立ち万葉集のなり立ち感想
折口氏の祖父は飛鳥の社の神職者だったと知り、興味を惹かれてこちらを読む。万葉集は家持が編纂したという説が有力だが、ここでは家持の編纂以前に、有名な歌の収集は中央で始まっており、家持の収集した防人の歌や自作の集は、謀反を起こした門出で没収されており、後年ほかの歌とともに万葉集となったという説が書かれていた。また歌舞所で大伴集とすでに収集されていた歌が一緒になったという説も。言霊を信じる国で、歌を集めるのは支配の一つでもあるため、説得力がある気がした。この時代は声楽が盛んだったことも歌を収集する理由だったか。
読了日:07月08日 著者:折口 信夫
古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫)古代史で楽しむ万葉集 (角川ソフィア文庫)感想
飛鳥、奈良時代、古事記と万葉集の初心者用の本を読んだあとだったので、とてもおもしろかった。もしこれらの知識がなく、この本をいきなり読んだら、きっと難しくて楽しめなかったかも。歴史の流れに合わせて年代順に歌を紹介しているので、歌の時代背景がより理解できた。額田王、一番興味深い女性。天武、天智天皇の兄弟両方の妻って不思議だと思っていたけれど、宮廷につかえる詞を司る女性だったという説に少し納得がいった。渡来系で祭祀用の鏡を造る鏡王の娘だったのではという説もおもしろい。年代で変わる歌の変化も楽しめた。要再読。
読了日:07月08日 著者:中西 進
万葉集を読む万葉集を読む感想
こういう文語体で書かれた文章は、文語体弱者の私は、読むのに躊躇してしまうんだけれど、Kindleで無料だし、万葉集だし、と思って頑張って読む。正岡氏、毒舌なのでおもしろかったけれど、納得のいかない意見もあり。例えば「畢竟 古の人は愚なるだけに虚飾の少かりしやに見ゆ」とあるけど、古の人を下に見るの反対!でも万葉集愛は伝わってきた。気に入ったやつ。文法に沿った歌に満足している「歌人の鼻毛こそ海士が引く千尋繩よりも長かめれと氣の毒に思はるゝなり」だって!(笑) 文学的毒舌、気に入りました。
読了日:07月08日 著者:正岡 子規
魔性の女魔性の女感想
耳読。初めて聞く作家さん。雰囲気は江戸川乱歩っぽく始まる。一軒家の宿で浮気をする夫。その夫は出世街道を歩いているが、実はそれは未来を予測できる妻がいたから。その妻は浮気のこともすべて知っていて、最後は殺されることで、自分の魂が夫と一つになれる、とまで言い出す。そこまで執着するような魅力が、この男性にあるのかということは置いておいて、朗読している方の魔性の女っぷりが、うまくて引き込まれた。浮気相手の女性も言っていたけど、そこまで一途なれるのは、ある意味うらやましい。
読了日:07月10日 著者:大倉 燁子
神話で読みとく古代日本: 古事記・日本書紀・風土記 (ちくま新書1192)神話で読みとく古代日本: 古事記・日本書紀・風土記 (ちくま新書1192)感想
歴史書というのは、真実と編纂者(主に権力者)の意図が絡まり合ってできている。大和政権の正当性を確立するために、ゼロから神話を創造するのではなく、すでに存在し、機能している各地域の神話をとりこむことで信ぴょう性を高め、それぞれの土地の民が現政権に納得する形にしたというのが興味深い。日本の古代だけの話ではないけど、物語の力の威力を感じる。いい意味でも悪い意味でも。古事記は読んだことあるけれど、日本書紀に一書(ほかの説)があるのも知らず、風土記も読んだことがなかったので勉強になった。
読了日:07月18日 著者:松本 直樹
万葉集に現れた古代信仰 ——たまの問題——万葉集に現れた古代信仰 ——たまの問題——感想
「むらさきの粉滷の海にかづく鳥 玉かづきいでばわが玉にせむ」など、万葉集には海と玉をうたった歌が多いが、それは「霊魂をつきとめる特異な経験が、海岸のある時期に多かつたことを意味してゐるので」あり、玉は単なる装飾品としての玉だけではなく、たましいを象徴している。またほかにも父母が玉だったらと願う歌もあり、それは遠く旅立つとき、愛しい人の一部を玉にこめて、身に着けるという習慣に基づいているらしい。勾玉や真珠などは、愛する人の魂でもあったんですね。
読了日:07月18日 著者:折口 信夫
Song for a WhaleSong for a Whale感想
子供に読み聞かせ。他のクジラとは異なる55ヘルツで歌う孤独なクジラ Blue55 と、耳の聞こえない少女アイリス。彼女はクジラの孤独と、自分の孤独を重ね合わせ、クジラのために55ヘルツの音で奏でる曲を作る。科学センターで追跡装置を付ける際に、この曲を流すことになり、その場所へ行きたいアイリス。伴侶を失い、気落ちしている耳の聞こえない祖母の協力で、二人はクルーズ船に乗り、クジラに会いに行くが。。。読んでる途中で憤ったり、泣いたりで、心が揺さぶられた。手話も生きている言語、流動的なのだと気づく。良本。未翻訳。
読了日:07月21日 著者:Lynne Kelly
しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)感想
【再読】。。。のはずなのに、まったく覚えていないという悲しさ。実は今も現代が舞台の日本語小説が読めない。それでも軽いものが読みたくて、江戸のファンタジーなら大丈夫そうかなと思って手に取る。江戸の廻船問屋の病弱な若だんなと、彼をとりまく妖たち。ゆきあった殺人事件をきっかけに、犯人捜しへと乗り出すことに。過去のせつない秘密も明らかになり、読んでいる間は、この世界へと浸かることができて楽しかった。大切なものが付喪神になるとか妖とか、薄闇に潜むものたちの話が好きだ。そういうものと共存する精神って実は大切だと思う。
読了日:07月22日 著者:畠中 恵
The Shepherd's Crown (Tiffany Aching)The Shepherd's Crown (Tiffany Aching)感想
【G84】ティファニーシリーズ最後の一冊は、著者の遺作でもある。アルツハイマーと戦いながら書かれた物語は、過去の作品と比べると密度がゆるい。本来何度も書き直し、濃密な物語に仕立てる彼だが、今回はその時間がなかったのだ。尊敬する魔女との別れ、後任者としての責任、すべてを抱え込んでしまうところから、自分の限界を知り、自分を知る。妖精たちとの闘いのなかで、成長していく彼女のこれからは、読者が想像するしかないけれど、清々しい終わりだった。この楽しい物語を生み出してくれたプラチェット氏に感謝。
読了日:07月24日 著者:Terry Pratchett
新装版 雲ながれゆく (文春文庫)新装版 雲ながれゆく (文春文庫)感想
「しゃばけ」からの江戸つながり。ある雨の日見知らぬ男に手ごめにされた菓子舗の後家お歌。少しずつ謎多き強いその男に惹かれてゆく、というのは、いささか都合がよすぎる気もしたけれど、ちゃきちゃきのお歌がいろいろな難題に悩みつつも前向きに歩く姿は読んでいておもしろかった。源吾の技って合気道とか気功なのかな。最後まで彼の素性は謎のままだったけれど、別の本に登場したりするのだろうか。池波氏の作品は好きだけど、「女という生きものは、いくつもの事態を手ぎわよくさばけないようにできている」ってのは、おだやかじゃないねえ。
読了日:07月25日 著者:池波 正太郎

4月の読書記録

4月の読書メーター
読んだ本の数:27
読んだページ数:4238
ナイス数:734

江戸川乱歩全集〈第17巻〉幻影の城主 (1979年)江戸川乱歩全集〈第17巻〉幻影の城主 (1979年)感想
耳読。聴いたのは表題の「幻影の城主」のみ。最近なぜか乱歩の朗読しか聴けない。明るい気持ちになるような話でもないのに不思議だと思っていたけれど、これを聴いた後、なんとなく理解できた。現実ではなく自分の想像の世界を愛し、最終的にはその世界を描くことで生きた乱歩。現実の事件には興味がない、というのがおもしろく、その理由にもうなずけた。私の中にこういう生き方に憧れるところがあるんだと思う。好きな言葉「私の生彩ある国への旅行は文字の舟に乗ってであった。それゆえ文字そのものが私にはかなたの世界に属する神秘であった。」
読了日:04月30日 著者:江戸川 乱歩
Little House in the Big WoodsLittle House in the Big Woods感想
【ML】再読本。2年前に長男と読んで、今度は次男と。シリーズ最初のこの本は、とうさんのしてくれるお話がおもしろくて、次男も熱心に聞いていた。この2年の間、長男と一緒に米国史を学んだので、西部開拓時代の様子が、より鮮明に浮かびあがって新鮮だった。たとえばとうさんの弟が戦争に行っていたというのは、南北戦争だったんだなとか。開拓時代の普通の人たちの食生活や暮らしぶりが、大人になって読んでも本当におもしろい。今年はローラシリーズを子供たちと読み続けたいなと思った。
読了日:04月29日 著者:Laura Ingalls Wilder
お勢登場お勢登場感想
耳読。真っ暗な中で聞いていると、閉所恐怖症ということもないのに、長持ちに閉じ込められた気分になって、空気が薄く感じて息苦しくなった。子供が探しにきたときに素直に出ていれば、こんなことにならなかったのに~と歯がゆく思う。「お勢登場」とは滑稽なお芝居のようだけれど、悪女お勢の心の揺れもリアルだ。最終的には捕まることは暗示されているけれど、それを知った息子がどうなるのかが一番心配。
読了日:04月29日 著者:江戸川 乱歩
The Whipping Boy (Harperchapters: Trouble at Table 5)The Whipping Boy (Harperchapters: Trouble at Table 5)感想
1987年ニューベリー賞。中世の終わりから近代にかけて、ヨーロッパでは悪いことをした王子の代わりに鞭を受ける役の召使の少年がいた。この話を読むまで知らなくてびっくり。この物語は、「くそがき王子」と陰口をたたかれるわがままで自分勝手な王子と、その鞭受けの少年が家出をして、悪者に狙われつつ逃亡し、友情を築き、王子は性根を入れ替えて、めでたしめでたしといった感じ。ユーモアがあって、子供たちは楽しんでいたけれど、私には物足りなかった。邦題: 『身代わり王子と大どろぼう』。
読了日:04月27日 著者:Sid Fleischman
白昼夢白昼夢感想
耳読。最初の町の描写が、なにかデ・キリコの絵のようなシュールな雰囲気を醸し出していた。そして街頭で、自分の妻を殺めた話をする男、そしてその話にどっと笑う群衆に警官、薬屋のショーウィンドウに陳列される蝋人形の産毛と微笑み。ぞっとする話だけれど、題名の「白昼夢」という言葉が持つ怪しい幻想的なイメージにぴったりで、割と好きな世界観だった。
読了日:04月27日 著者:江戸川 乱歩
A Hat Full of Sky (Discworld)A Hat Full of Sky (Discworld)感想
香りや音と同じく、文字が紡ぐ世界も、何かをきっかけによみがえることがある。後年コロナの日々を思い出すとき、この魔女ティファニーの世界が瞬時に脳裏に浮かぶんじゃないかな。それはとても幸せなことだ。魔女修行中のティファニーに、hiverという不気味な寄生物体が近づく。体を乗っ取られると、別人格になって最後は死に至るのだが、彼女は勝算の見込みのない戦いに挑む。アルツハイマーに侵された作者の状況にも重なり、そこは切ない。光も闇も合わせ持ちつつ、相変わらず一本芯の通った彼女。個性的な仲間の活躍も楽しい。
読了日:04月26日 著者:Terry Pratchett
Persepolis: The Story of a Childhood (Pantheon Graphic Library)Persepolis: The Story of a Childhood (Pantheon Graphic Library)感想
イスラーム革命、イラン・イラク戦争時にテヘランに住んでいた作者マルジの回想グラフィック・ノベル。マルジは、ちょうど多感な時期で、反抗心に共感できる部分と、むこうみずな行動に反発する部分が混じる。戦火で生きるということを、私は想像するしかないが、それが日常となってしまうというところが一番恐ろしい。厳しい戒律を庶民に強制する政府のもと、自由な暮らしが一転し、拷問や連行におびえながらの日々。選択肢があるのに祖国を離れない両親。絵はシンプルだからこそ伝わることもあり、重い内容にじっくり向き合いつつ読んだ。
読了日:04月25日 著者:Marjane Satrapi
Sarah, Plain and Tall (Sarah, Plain and Tall Saga #1)Sarah, Plain and Tall (Sarah, Plain and Tall Saga #1)感想
【ML】再読。1986年ニューベリー賞。前回は一人で読んでいたので、情景にどっぷりつかっていたため、Calebの言葉に涙がこぼれたけれど、今回は子供たちと読むので、泣かないように心して読んだら、割とあっけなく終わってしまった。西部開拓時代、こんな風に広告で花嫁を募集、ということもあったんだろうな。サラが育ったメイン州の描写が、詩的ですてきだった。
読了日:04月25日 著者:Patricia MacLachlan
紛争地の看護師紛争地の看護師感想
世界で紛争がおこるたびに、少し心が暗くなる。以前からそういう場所で生きるということに心が引き寄せられてしまう。好奇心ではなく、わからないことをわかることで恐怖心を緩和したいのかもしれない。白川さんは国境なき医師団の看護師として、シリアや南スーダン、パレスチナで活動してきた。悩みながらも自分の道を進む彼女に尊敬の念が湧く。ガザの話が印象的だった。イスラエル人がなぜ冷酷になれるのか、そこにある憎悪と恐怖の連鎖に心が痛む。自分にできることを続けること、それしかできないけれど、もっと責任を持って生きていきたい。
読了日:04月25日 著者:白川 優子
チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)感想
子供時代、題名に惹かれながらも、縁がなかった作品。長男の日本語教室の課題だったので、図書館で借りて読む。洋菓子屋さんのガラスを割った濡れ衣をきせられた子供たちの気持ちの揺れや、奇抜な仕返し、憤るクラスメートたちの様子などが懐かしい昭和の香りがする。でも今も色褪せない童話なんだろうな。金兵衛氏は、ちょっと憎らしいけれど、彼にも彼の物語がある。最後は洒落た太っ腹な計らいで解決。挿絵も味があって、初めて読んだのに懐かしい気持の読後感だった。
読了日:04月24日 著者:大石 真
くいしんぼうのはなこさん (日本傑作絵本シリーズ)くいしんぼうのはなこさん (日本傑作絵本シリーズ)感想
日本語教室からのいただき本。いしいももこさん、名前を聞いただけで、ほくほくする。わがまま女王牛のはなこさん、たべすぎ。わがままし放題なのに、周りの牛たちも大人たちも、はなこさんに甘い。物語自体は、特に好きだ!ということもなかったんだけれど、このほのぼのした絵が良かったな。これを読んだあと次男は、「明日絵を描きたい」と言って眠った。
読了日:04月23日 著者:いしい ももこ
月と手袋/妻に失恋した男 現世の夢シリーズ月と手袋/妻に失恋した男 現世の夢シリーズ感想
「妻に失恋した男」耳読。題名が面白いので聞いてみたけれど、歯医者が出てきたところで、だいたい察しがついて、トリックもそこまで特筆する感じでもなかった。 「月と手袋」こちらは青空文庫で読む。これは題名が童話っぽい。完全犯罪を狙ったけれど、徐々に追い詰められてゆくカップルの話。犯罪を犯したときの心理状態の描写は、生々しくてリアルだった。明智探偵は結局出てこないのに、名前が出てきただけで、犯人たちがおびえるくらいの影響力だった。結局嘘をつきとおすというのは苦しいということですね。
読了日:04月22日 著者:江戸川乱歩
The Bookseller of KabulThe Bookseller of Kabul感想
アフガニスタンはカブールで本屋を営むサルタン一家の物語。作者は実際にこの一家と生活して、この本を書いた。タリバン政権崩壊後の荒廃が生々しいなかでも逞しく生きる人々の姿は印象的だった。ただムスリムではない私には、一家の主であるサルタンの独裁的なところや女性の扱いには正直憤りを感じる。その一方で、作者の西洋的価値観からくる優越的な視線で書かれた文章にも、違和感があったことは否めない(後日、作者は彼らから訴訟をおこされた)。一家の一人ひとりに焦点をあてた物語に、それぞれの立場からの視点が見えるのは興味深かった。
読了日:04月20日 著者:Asne Seierstad
Rabbit HillRabbit Hill感想
【ML】先日読んだ「Ben and Me」と同じ作者。動物たちが主人公の古き良き時代の童話だった。あるのどかな丘にある空き家にとうとう新しい人間がやってくる。丘に住む動物たちは、わくわくドキドキ。やってきた夫婦は、野菜を育て、小動物を大切にする理想的な人々だった。たまにはこういう安心して身を任せられる物語が必要だ。次男に読みながら、つかの間、のどかな野原で暖かいおひさまの光を浴びて、寝っ転がっているような気分になれた。
読了日:04月18日 著者:Robert Lawson
ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫)ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫)感想
こんなときこそ日々を大切に生きるべし、と思って、友達のおすすめのこの本を読む。自給自足に近い生活をすることは、今の私にはできないが、もっと土を知り、野菜も種類を増やして育ててみたい。いくつか心に残った言葉もあった。弱虫奨励、嫌なことは禁句、書くことでのコミュニケーション、人付き合いのこと、値段が高くても長持ちするものを買う、人の言葉に影響を受けず自分の感性に従うなど。年齢を重ねて好きなことが明確になると、大切な残りの時間は、そこに集中したい。そのためにそぎ落とすことがあってもいいのだと気が楽になった。
読了日:04月18日 著者:つばた 英子,つばた しゅういち
恩讐の彼方に恩讐の彼方に感想
耳読。初の菊池寛作品。なんとなく小難しい小説を書く人かと敬遠していたけれど、引き込まれた。不義の果てに仕える主人を殺めた市九郎。情婦と逃亡するが、生き抜くために罪の上塗りを続ける日々。そんな人生から抜け出したくて今度は一人で逃亡し托鉢僧に。旅路の果て、罪滅ぼしのために、道を作るため崖をひたすら掘る彼の前に、殺めた男の息子が現れる。掘る作業自体は人を無心にする気がするが、その行為の目的には執念が宿るのがおもしろい。最後の場面は、鮮明に頭に浮かび、空気やにおいまで感じられるようだった。他の作品も読んでみたい。
読了日:04月17日 著者:菊池 寛
高瀬舟高瀬舟感想
眠れぬ夜に耳読。森鴎外氏の作品を意識して読むのは初めて。同心の庄兵衞と罪人の喜助が高瀬船で大阪へと向かう。夏も近づく京の生温かい月夜。船の掉さす音のみが聞こえる静かな情景が浮かびあがって、それだけで胸が痛い (京都出身なのと情緒不安定なのとで)。通常の悲しみにくれる罪人とは異なり、目を輝かせる喜助の様子に、庄兵衞は好奇心をそそられる。喜助は人生に多くを期待せず見返りを求めていない。牢屋ですら心地良いと感じている。生い立ちによるものだろう。それが諦観しているように見える。罪とも言えない罪ですら受け入れて。
読了日:04月14日 著者:森 鴎外
WishtreeWishtree感想
レッドという名の願いごとをつるすと叶うといわれるウィッシュツリーが語る物語。近所に住む心優しいイスラム教の少女サマール。孤立する彼女には友達がほしい、という願いがあった。そんなある日レッドの幹に「失せろ」という言葉が彫られる。その言葉をきっかけに、土地の持ち主のフランチェスカはレッドを切る決意をする。フランチェスカの歴史は、今も続く移民の歴史でもある。サマールの隣に住む少年の暖かい願いごとに泣きながら読み聞かせる。失うという恐れが憎悪につながるのか。異文化を受けれることは、人生を豊かにすることと思えれば。
読了日:04月13日 著者:Katherine Applegate
双生児 ――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――双生児 ――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――感想
科学捜査の進んだ現在では、犯罪計画が雑すぎて成功率が低いと思うけれど、それよりも夫が入れ替わったのに気が付かない妻っているんだろうか?そこにどうしても引っかかって、今一つ話に入っていけなかった。それにしても、親も親だと思う。双生児なんだから、長男とか関係なく、平等に扱ってあげていたら、こんな事件はおこらなかったはず。殺めた兄が、いつもにらみつけている、というところは、想像すると怖かったけど、鏡や窓に映った顔については、同じ顔だから仕方ないよね。。。
読了日:04月13日 著者:江戸川 乱歩
84, Charing Cross Road84, Charing Cross Road感想
ニューヨークに住むスパイシーなユーモアのある劇作家ヘレン・ハンフと、ロンドンの古書店の店員フランク・ドエルの書面での交流の様子を、当時の手紙で綴る本。最初は本の注文から始まったやりとりだが、ヘレンがお礼に肉を送ったところ、感激した店員たちから次々と手紙が届く。1949年の英国はまだ戦争の爪痕が残っており、食物も配給制だったので、肉は貴重だったのだ。それ以降、フランクの妻とも交流は広がり、出会ったことのない人々の間に友情が芽生える。本を愛するという共通点から、こんな風にすてきな関係を築けることが喜ばしい。
読了日:04月12日 著者:Helene Hanff
天使のナイフ (講談社文庫)天使のナイフ (講談社文庫)感想
親としては、未成年の犯す犯罪は、被害者と加害者と両方の立場から見てしまうので辛い。コロナで鬱々していたこともあり、前半は読むのが苦しかった。しかし事件が二転三転して、予想のつかない展開に驚く。伏線があるのはわかったが、最後にこいつか~という驚きがあった。負の連鎖って恐ろしい。これはフィクションだけど、実際に事件の余波が人に及ぼす影響は大きいだろう。未成年の事件、更生の可能性を考慮することは必要だけれど、残念ながら反省しない子もいるだろう。ここでは、その理由が家庭環境に見られた。理由が見えるのは少し救いだ。
読了日:04月12日 著者:薬丸 岳
コロナの時代の僕らコロナの時代の僕ら感想
読友さん情報で、全文公開の本書を読む。自宅待機から一か月近くたち、様々なデータや情報に目を通した今読むと、真新しい知見が得られたということはないが、まだ楽観的だった一か月前に読んでいたら、違った印象だったと思う。孤独に強いというのは武器だなと思ったり、想像力を屈指して個が集団にもたらす影響を考える大切さ、地球における人間の存在について、などの思考が流れた。地球は狭い。東日本大震災での原発事故でもそう思った。複雑に絡まり合う原因をほどくにはどうすればいいか。忘却は心の防御だろう。でも地球は待ってはくれない。
読了日:04月11日 著者:パオロ・ジョルダーノ
Shiloh (The Shiloh Quartet)Shiloh (The Shiloh Quartet)感想
【ML】1992年ニューベリー賞受賞。猫派の家族だが、ビーグル犬シャイロの本の魅力に息子たちがハマる。近所に住む粗野な男ジャッドの犬が、マーティ少年のもとに逃げてくる。貧しい彼の家では犬を飼うことはできないが、返すと虐待される犬を放っておけない。キリスト教徒の彼は家族に嘘をつき、罪悪感に悩まされつつも、犬を救おうと頑張るのだが。。。単なるハッピーエンドではなく、最後のジャッドとマーティの奇妙な友情ともいうべき関係が、希望を感じさせてくれた。続きが気になり、四部作を全部読んだ辛口長男も満足なシリーズ。
読了日:04月11日 著者:Phyllis Reynolds Naylor
The Wee Free Men (Tiffany Aching)The Wee Free Men (Tiffany Aching)感想
【G84】初プラチェット。面白いと評判のディスクワールドの魔女ティファニーシリーズ1冊目。白亜層の土地の農場に住む魔女志望の9歳のティファニー。ある日弟が「女王」に誘拐される。赤い髪に青い肌の、盗みが大好きな小鬼ナック・マック・フィーグルズとともに、弟を、愛する土地を、そして自分を取り戻すために戦う。彼女があまりにもまっとうで、応援せずにはいられない。祖母との思い出に土地との絆、本当の強さとは、など、読みやすく、なのに深い。小鬼の弱みにヒキガエルの正体など、にやりとするところもいっぱい。完全に虜になった。
読了日:04月10日 著者:Terry Pratchett
Alexander The Great (3.3 Young Reading Series Three (Purple))Alexander The Great (3.3 Young Reading Series Three (Purple))感想
地中海からエジプト、インドに至るまでの土地を征服したマケドニアのアレクサンドロス大王の一生を描いた本。荒馬と思われていたが実は影におびえていたブケパロスを手なずけた話や、アリストテレスが先生だったこと、ゴルディオスの結び目など、有名な話はおさえている。興味深かったのは、ペルシアとの絆を深めるため、ダレイオス3世の娘と結婚し、自分の部下にも集団結婚を奨励したこと。ペルシアかぶれと悪評だったけれど、他の文化を取り入れ、和平を結ぼうと努力したところは評価できる気がする。彼はイスカンダルとも呼ばれていた。ヤマト!
読了日:04月08日 著者:Jane Bingham
Ben and Me: An Astonishing Life of Benjamin Franklin by His Good Mouse AmosBen and Me: An Astonishing Life of Benjamin Franklin by His Good Mouse Amos感想
米国建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリン。彼は科学者の顔も持っており、雷が電気であることを証明したり、避雷針を発明したりと多才な活躍をした人。うちでは、独立戦争にかかわった著名人の中で、彼が一番人気で、ベニーと呼んでいるくらいだけど、この童話では、実はこれらの功績の影には、エイモスというネズミのアドバイスがあった、という設定。子供が好きそうなはちゃめちゃ系だったけれど、表現が古めかしい部分もあった。作者は「はなのすきなうし」の挿絵を描いた人。この本の挿絵もやはり素晴らしかった。息子二人に読む。
読了日:04月06日 著者:Robert Lawson
盗難/算盤が恋を語る話 現世の夢シリーズ盗難/算盤が恋を語る話 現世の夢シリーズ感想
耳読。偏頭痛がひどいときは本が読めないので、せめて耳で。「盗難」は最後にオチが二転三転して、結局真実はうやむやに。でも、泥棒の不気味さ、夜の町の暗さなど、言葉の魔力で独特の雰囲気を醸し出すところがさすがです。「算盤が恋を語る話」は、「日記帳」と重なるところがある。内気だがプライドが高く執拗な男性が、職場の好きな女性に算盤に記した暗号で恋を打ちあける。とりあえず暗号で想いを伝えるのはやめようか。通じているかと思いきや、全然通じてへんやーん!一喜一憂する彼の心理状態の変化の描写が、やっぱりうまかった。
読了日:04月05日 著者:江戸川乱歩

3月の読書記録

3月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:4810

The Call of the Wild (Scholastic Classics)The Call of the Wild (Scholastic Classics)感想
動物ものは辛い場面や感動させようという下心がありそうで苦手だ。でも、この本は硬質でウェットな甘さがなく、犬のバックの数奇な運命をたどる旅だった。誇り高き飼い犬だった彼は、誘拐され、黄金ラッシュに沸く北部の過酷な地で犬橇用の犬として生きることを余儀なくされる。棍棒で殴られ、服従を強要され、橇を引いて何マイルも走る日々。そんな中、彼の中の野生が目を覚ます。長の座を巡る熾烈な戦い、仲間の死、愛する主人との出会いと別れ。時に暴力的、時に美しい自然の姿に惹かれた。当時彼の地に生きた様々な人間の生き様も垣間見える。
読了日:03月02日 著者:Jack London
The Librarian Who Measured the EarthThe Librarian Who Measured the Earth感想
初めて地球の大きさを図ったエラトステネスのお話。リビアに生まれた彼は、好奇心旺盛で聡明な男の子だった。当時学問の都だったエジプトのアレクサンドリアの図書館長となり、アルキメデスとも交流があった。そんな彼が、ある土地までの距離と角度をもとに地球の大きさを図る。その結果は、現代の測定とたった200マイルしか誤差がなかった。技術や知識が進歩して、一般人も昔の人より物知りになったとはいえ、やっぱり天才は何千年前でも天才なんだな。絵本とはいえ、数学オンチの私には、残念ながらきちんと理解できませんでした(涙)。
読了日:03月02日 著者:Kathryn Lasky
The Three QuestionsThe Three Questions感想
トルストイの同名の小説を、子供向けに内容を変えて書かれた絵本。もし三つの質問の答えがわかったら、「いい人間」になれるはずなのに、と考えるニコライ少年。その質問に答える友達のサギ、サル、犬。その後あることをきっかけにその答えを知る彼。淡い水彩画の絵も含めて、味わい深い。本来の答え以外に、友人たちの回答を読んで、その答えはそれぞれの人と「今」によって違うことも忘れちゃいけないと思った。人は皆一個の宇宙みたいなものだから、違うものが見えることもある。それを受け入れられないと諍いがおこる。オリジナルも読みたい。
読了日:03月03日 著者:Jon J. Muth,Leo Tolstoy
The Children's Homer: The Adventures of Odysseus and the Tale of TroyThe Children's Homer: The Adventures of Odysseus and the Tale of Troy感想
断片的に知ってはいたイリアドとオディッセイだけれど、全編を通して読むのは今回が初めて。子供版なので、残酷、妖艶な箇所は略している模様。長男と読んでいたら、文章が古めかしいと文句を言われたが、私は割と読みやすかった。挿絵がビアズリー的なアール・デコ調なのも良かった。こういった古典は若いうちに読んでいたら、後続の作品、絵など、もっと深く理解できて楽しかっただろうにと後悔。いずれ大人版のものを読みなおしたいと思う。イリアドはトロイア戦争、オディッセイはオディッセウスの冒険物語。面白かったです。
読了日:03月03日 著者:Padraic Colum
Greece (Enchantment of the World. Second Series)Greece (Enchantment of the World. Second Series)感想
長男とギリシャ古代史の勉強中なので、お馴染みシリーズを読む。古代の文化は輝かしいが、都市国家同士の争いに明け暮れていたため、ローマ支配以降は、外国に翻弄され続けた。興味深いのは、オスマン帝国支配下のギリシャ人がルネッサンス開花中の欧州に留学し、多くの文化や芸術が自国をモデルにしていることを知り、そこから独立運動の士気が高まったところ。浮世絵が海外で評価されているのを知った日本人みたいな感じか。現在は経済や政治の問題を抱えている。優れた哲学者たちの誕生は、奴隷のおかげで些末なことから解放されていたからか。
読了日:03月04日 著者:Ann Heinrichs
Three Questions (Classics To Go) (English Edition)Three Questions (Classics To Go) (English Edition)感想
先日トルストイの同名のこの短編をベースにした絵本を読んだので、オリジナルを YouTube の朗読で耳読。7分くらいで終わる短い話で、主人公は少年ではなく王様。登場人物は異なるけれどパターンは同じだった。三つの質問に対する回答は、マインドフルネスな回答。ロシア文学に疎いので、トルストイが東洋の思想に影響を受けていたことを知らなかった。ガンディーとも親交があったんですね~。これまで読んだ本も含め、長編を読んでみたくなりました。
読了日:03月04日 著者:Leo Tolstoy
The JourneyThe Journey感想
読友さんが紹介されていて、絵が美しく印象的だったので、早速図書館で借りて読む。平和に暮らしていた家族の国で、戦争が始まる。その戦争の不穏な空気が、家族を蝕んでゆき、父亡き後、母は安全な土地を求めて、子供二人を連れて旅をする。絵はかわいいし、色もカラフルなのだけれど、難民として逃亡する生活の不安や怖さは伝わってきます。生々しくないので、子供さんと戦争や難民のお話をするきっかけになると思う。次男と読んだ。
読了日:03月04日 著者:Francesca Sanna
The PenelopiadThe Penelopiad感想
ホーマーを読了後、ぜひ読もうと思っていた積読本。私が好きなアットウッドが書いたオディッセウスの妻、ペネロピ―の視点から書いた事の顛末。彼女らしいツイストの効いた話だった。本編では不貞を働いたとして殺害される十二人の待女が、ギリシャ劇のコーラスのように、物語の途中で短い歌や劇を繰り広げる。その中で、彼女たちの奴隷としての生活の現実や不貞の裏の真実が明らかになる。英雄として崇められるオディッセウスは饒舌な狡賢い男に、貞淑なペネロピ―は嫉妬と後ろ暗い闇を持つ女に、より現実に近いドラマに仕上がっていて面白かった。